辺りは謎の影に覆われ結界は役に立たない。陣地作成のスキルを使い迎撃魔術を沢山敷いたのだがこの影には何一つ聞かない。
「一体何なのよ・・・」
正直あれはどうすることもできない。
あれはサーヴァントの天敵なのだ。勝てるはずがない。
だが自分は引くことはできない。ここで引くことはしたくは無い。
召喚されたときは最悪のマスターの引き当てられ魔力供給はほとんどカットされる毎日・・・
愚かなマスターに令呪を全部使わせ殺した後、自分は行き倒れ、この柳洞寺にまで運び込まれ助けられた。
裏切りの魔女と言われ続けこの聖杯戦争に呼ばれるまでの長い日々の中で自分を信じて助けてくれた一人の男のためにも私は負けられない。
故に逃げもせずここに留まる・・・
「私は・・・もう裏切りたくはないわ・・・」
魔女は一人の男のために・・・この柳洞寺で戦い魔女は散った・・・
七夜と華と運命と
名も無き暗殺者
「くっ・・・」
「慎二!!」
ライダーが慎二を救おうとアサシンの方を襲おうとするがアサシンは慎二を盾にし首筋に短剣を押し付けているせいか救うことはできなかった。
「動かないで、動くとアサシンの持っている短剣が刺さるわよ?」
「くっ・・・」
ライダーはただ歯噛みをするのみ、慎二は苛ただしそうにライダーと凛をただ睨むことしかできない。
「くっ・・・遠坂!!よくも!!よくも騙したなああああ!!!!」
「あら?人聞きの悪い、これは戦争なのよ?卑怯もクソもあったものじゃないわよ?」
間桐慎二が吼えるがもはや自分の命を私が握っているため何もできないためか、ただ喚き散らし私を睨むのみ
「アサシン!?アサシンだって!?そんな馬鹿な!!?」
「慎二?」
この現状ですでに気が狂ってしまったのか・・・慎二は辺りに喚き散らす。
「ちょっと慎二、一体如何したのよ?」
「どうしたもこうも無い!!遠坂!!お前一体どんなイカサマを使ったんだよ!!!」
「はっ?」
何を言っているのだろうか?
コイツはまだなにか重大なことでも知っているのだろうか・・・
「慎二、貴方一体何を言っているの?」
「凛、こいつの持っている本なのだがなんかおかしな動きをしているぞ?」
アサシンの言うとおり本が独りでに震えだしている。一体何なのだろうか?
魔術師でもないこいつがマスターになれたのもこの本がもしかしたら関係しているのかもしれない。
「アサシン、回収して頂戴。」
「心得た。」
ならば一度調べるためにも持ち帰った方がいいだろう。だがその本はアサシンが触る前に燃え出してしまった。
「そ・・・そんな。」
「慎二?」
「カッカッカッカ・・・・・」
「誰!!」
私たちが声がしたほうに振り返るとそこには小柄な老人が一人・・・
まさかこいつは・・・
「遠坂よ、同じ御三家のよしみでここはわしに免じてこやつを見逃してやってく
れぬかね?」
間桐臓硯・・・こんなところでこいつが出てくるなんて・・・
「あら?マスターの慎二を見逃せって言われて見逃すと?」
「そうじゃな、普通なら・・・だが慎二はもうマスターではない。」
「えっ?」
そういえば先ほどからライダーの姿が見えない・・・慎二を見捨てたのだろうか・・・
「慎二には魔術回路が無い・・・それなのにマスターで居られたのはその本、偽臣の書のお陰じゃからな。それがないかぎりもう慎二にはマスターにはなれんよ。」
なるほど、だから慎二もマスターになれたのか、確かにもう慎二にはマスターになれる権利が無い。
「そう、安心したわ。」
「では見逃してもらえるかね?」
普通なら見逃すけど今は違う。
「慎二は一般人を大量虐殺しようとした。それを冬木の管理主として見逃すわけにはいかないわ。」
ここでこいつを捕まえておかないと何をし出すかわからない。そんな危険な奴を逃がすわけにはいかない。
「ふう・・・仕方が無いの。」
「?」
「慎二からアサシンを離さないのならこちらも然るべき手段をとらさせてもらうだけじゃよ。」
なぜ臓硯はこんなにも余裕なのだろうか・・・
「言っておくが慎二を逃がしてと言うのはワシの願いではなく桜の願いでもあったなのだが・・・まあいい。交渉決裂じゃな。」
「臓硯、何をするつもりなの?」
「カカカ・・・今に解る。」
桜の願い・・・なぜこのマキリの怨霊とも言われた爺がそんな事のために・・・
「いでよ・・・アサシン。」
「アサシン・・・何を・・・!!?」
臓硯の一声と共に黒いフードを纏った髑髏面の男が出てはアサシンの眉間目掛けて黒塗りの短剣を投げる。
「クッ・・・」
アサシンは慎二を盾にするわけにはいかず四方から襲ってくる短剣を楔型の短剣で迎え撃つために慎二を捨て全ての短剣を弾いた。
「ひいいいいいいい!!」
「慎二!!」
私はガンドを慎二目掛けて撃つが臓硯が蟲を慎二に張り巡らしたせいか当たることはなかった。
「ちっ・・・」
慎二は私たちを振り返ることもなく逃げていってしまった。
「すまない、結局逃がしてしまった。」
「気にすることはないわ。どうせあいつはもうマスターにもなれない。それより
も・・・」
今はあんな小物など放っていてもいい、私の前にいる・・・
「臓硯、なぜ貴方までサーヴァント・・・しかもアサシンを召喚しているの?」
間桐臓硯と髑髏面のサーヴァント、アサシンを相手にせねばいけない・・・
「カカカ、まあ慎二の件にせよいくらでも抜け道はあるからの・・・」
アサシンをどうやって呼び出したのかは解らないがルール違反をしたのは間違い
ない、という事か。
「遠坂。せいぜい頑張って他のマスター達を倒して生き残ってくれい。」
既にアサシンの姿は無く臓硯はゆっくりと後ろを振り返り歩を出す。
が
「その必要はない。」
「ほ?」
ザシュッ!!!
そこには武装して臓硯を真っ二つにしたセイバーと慎二を聖骸布で捕獲している
カレンがいたのだった。
慎二をボコボコ×4(私、カレン、セイバー、アサシンで)にして教会に捨ててきた後・・・
「まったく・・・リン。私たちを置いて学校に行くなんて何を考えているのですか。」
「ごめん・・・セイバー。」
「これに懲りたら二度と単独行動を取らないでください。」
「うう・・・」
カレンの家に帰る途中、家に置いていった事でセイバーにかなり怒られてしまい説教をされてしまった。
「でもセイバー、貴女達いなかったしアサシンを連れていったから別にいいじゃない。それに結界だって」
「リン、結果論で纏めないでください。そもそも貴女の注意が足りないからサーヴァントに不意を突かれたりカレンにも負けたりするのですよ?」
・・・セイバーに痛いところを突かれてしまう。
「そもそも貴女には普段からの注意が足りないからこんな事になるのです。もしもの事を考慮して自重して行動してください。」
さきほどからセイバーに説教されていた・・・
「リン!聞いているのですか!!」
「うう〜」
ちなみにアサシンはカレンに聖骸布で締められて引き摺られていた。
「アサシン・・・何を勝手に行動しているのですか?」
「いや、カレン。これには訳があってだな」
「駄犬の分際で何を言っているのですか・・・」
「頼むから離してくれないか?」
「断るわ・・・」
「そんな・・・勝手に行動したわけでは・・・」
「黙りなさい。駄犬の分際で勝手に行動した罰です。暫くこのままでいなさい。」
「カレン・・・」
まあアレよりはマシかなあ・・・
「ふーん・・・マキリはルール違反を犯してまで聖杯戦争に参加した・・・か。」
しかもアサシン・・・暗殺者のサーヴァントまで召喚して・・・
さすがマキリ、といったところか・・・
「バーサーカー、今回の聖杯戦争・・・奴に関わったら駄目だわ。」
マキリの切り札・・・黒い■■だけは絶対相手をしてはいけない。アレは危険すぎる。
既にキャスターは奴にやられている・・・
「キャスターが脱落して残るサーヴァントは六組・・・か。」
別に自分は誰から相手をしても良かったのだが・・・
「うん!決めた!!」
やはりあのサーヴァントが自分は一番気になる・・・何よりも・・・
「あんな芸当の出来るサーヴァント・・・面白いわね・・・」
自分はアレを気に入ってしまったからである。
「それじゃ行こうか。バーサーカー!!」
「■■■■■■■!!!!!!!!!!」
「絶対私のものにしてあげるわ・・・」
そう心に誓いバーサーカーと共に目的地に向かうのだった・・・
続く