暑い夏の夜・・・

俺は離れの一角にある和式の部屋で眠る・・・

それは昔のことを思い出したからなのかもしれない。

今こうして横になって寝転がっている状態で・・・

俺は昔の事を思い出す。

遠野志貴ではなく七夜志貴として

 

 

遠野が七夜となるまでに 前編

 

 

生い茂る森の中

奴はそこでずっと俺を待っていた。

それはかつて夢の世界で戦い軋間に殺されたはずの・・・

「よく此処に来たな、遠野志貴。」

七夜志貴がそこにいた・・・

「なんでお前がまた出て来るんだよ。」

それは心からの疑問

「会って早々それか?」

だがそれを奴は鼻で笑い飛ばしポケットから七つ夜を取り出す。

「もともと吾はお前と相容れぬ存在、今再び会ったならば・・・」

奴は七つ夜を構え此方に向けて正眼の構えを取る。

「ここで殺しあうことだろう?遠野志貴。」

「そうかよ、殺人貴が。」

そうだ・・・これは俺の夢の世界・・・

ならば意思が強い方がこの世界では勝つ・・・

奴はそれを知っていて俺を殺そうとしている。
俺は魔眼殺しを外しポケットから七つ夜を出す。だが・・・

「・・・貴・・・志・・・・」

「ちっ・・・邪魔が入った・・・遠野志貴・・・今度こそ俺はお前を殺してやる。」

奴は七つ夜をポケットの中にいれ後ろを向く。

まだ決着は着いていない・・・それなのに・・・

奴を追いかけようとした時世界は反転した・・・・

 

 

 

「・・・貴さん。志・・・志貴さん・・・・・」

ああ、どこかで声が遠く感じる・・・この声は・・・

「志貴さん!!起きてください!志貴さん!!」

ああこの声は・・・

「志貴さん!!大丈夫ですか!?」

琥珀さんが俺の目の前で涙を流し抱きついてくる・・・

俺は一体・・・

「志貴さん・・・よかった・・・・」
「琥珀さん、一体どうしたの・・・・?」

力を込めて抱きついてくる琥珀さんが落ち着くまでしばらく抱き合っていた・・・

 

 

「志貴さん・・・魘されていて時々呼吸が止まっていたのですよ・・・?」

その後俺は琥珀さんに事情を説明してもらい今にいたる・・・

琥珀さんから聞いた話では・・・

 

俺が死に掛けていた

魘されていて殺す・・・殺す・・・と言っていたこと・・・

七夜という名を連呼していたことだ・・・


琥珀さんは七夜一族のことは知っているのだが七夜志貴の事を説明は出来ない。奴はもう一人の俺・・・

ならば俺は遠野志貴として奴と決着を着けなければならない。

今こうして琥珀さんと一緒に居る日常を守るために・・・

 

 

奴がそれを壊そうとするのなら俺は奴を殺す・・・

 

 


「志貴さん・・・お願いです。どうか・・・」
「琥珀さん、本当に何でもないよ、もう一度寝直すから席を外してくれないかな?」
「しかし・・・」
「頼む・・・」

そう・・・俺は奴と決着を着けなくてはいけない・・・

渋る琥珀さんを無理矢理外に出し鍵を閉め・・・

俺は七夜志貴に再び会うために意識を沈めるのだった・・・

 


続く