「志貴様」
「どうしたの?」
「あの・・・」

翡翠?・・・何だろう・・・

「あ・・・あの・・・」
「な、なんだい?」

「昼食の支度が出来ました・・・」
「ああ、わかったよ。」

「はい・・・」

どうして・・・それだけで・・・嬉しそうなんだろう・・・

はっ・・・まさか・・・

 

翡翠の・・・・手料理・・・・

 


「さあ、志貴様。参りましょうか。」
「ちょ・・・ちょっと待ってよ翡翠・・・」

ああ・・・そんな嬉しそうな顔されると・・・断れない・・・

俺大丈夫かな・・・

 

 


翡翠のお料理如何でしょう?
志貴編

 

 


「さあ、志貴様。どうぞお召し上がりください。」
「あ、ああ。」

テーブルの上には綺麗な色をしたシチューとサラダと手作りと思われるパン・・・

み、見た目は大丈夫だ・・・・・

目標のシチューに向かってスプーンを伸ばす・・・

「あ・・・」

琥珀さん・・・その、あ・・・って何!あ・・・って!!

急遽変更してサラダに手を伸ばすが・・・

「ゴク・・・」

秋葉!なんでそこでお前も俺を見つめる!しかも自分は食べずに!!俺を毒味に使わせる気か!!」

サラダにフォークを刺しそのまま食べるが・・・

「ぐっ・・・」

なんか・・・凄く酸っぱい・・・しかも・・・これトマトじゃなくて梅干じゃん!!

「志貴様・・・その・・・・」

ああ・・・翡翠が悲しそうな顔で見ている。
お願いだからそんな顔で見ないで・・・罪悪感が沸いてしまう・・・

「だ、大丈夫、翡翠。お、美味しいよ・・・」

「そうですか・・・喜んでもらってよかったです・・・」

普段表情の変化の乏しい翡翠が華のように笑うのはとても嬉しいのだがこのパンとシチュー・・・全部俺は食べれるのだろうか?

パンを齧るが・・・

「・・・」

ゴリ・・・ゴリ・・・・ゴリ・・・

凄い硬い・・・拳骨飴みたいだ・・・

しかも味がしない・・・

何・・・これ・・・

「に・・・兄さん?なんでしょう・・・コレ・・・」

秋葉は俺が食べて大丈夫だと判断したのかそのパンを食べる・・・
どうやらこれはぎりぎりセーフ・・・みたいだ・・・硬いけど。

「さて・・・」

俺はラスボス・・・恐怖のシチューにスプーンを着ける・・・

「ゴク・・・」

翡翠は俺を真剣な・・・不安そうな目で見ている・・・

それを俺は全部一度に飲もうと・・・

「ぐはっ!!」

駄目でした

無理でした、

死にます!マジで死にます!!

なにこれ!!凄い辛い!!!

めっちゃ辛い!!

アレニハ勝テナイ・・・
ニゲロニゲロニゲロニゲロ・・・・・・

俺の中の七夜もコレを捨てて逃げろと警告をしている。それでも俺は・・・

「志貴様・・・」

翡翠のために・・・逃げるわけにはいかない!

ガチャッ!!←スプーンを掴んだ音

「■■■■■■■―――――――――――――――!!!!!!!!!」
「に、兄さん!!」
「し、志貴さん・・・あまり無茶をされると・・・」

愛する翡翠のために全てを食べた、かっ食らった!丸呑みした!!

き・・・きつい・・・・・

「■■■■■■■―――――――――――――――!!!!!!!!!」

「志貴様・・・・」

翡翠・・・お願いだからそんな目で見ないでくれ・・・・・

「ぐっ・・・・」

おえっ・・・・・

やっと・・・食べ終わった・・・・・な・・・

「ひ・・・翡翠・・・」
「はい・・・」

翡翠の悲しむ顔を見たくはない・・・
ただそれだけの執念で俺は・・・この謎の物質を全て食べた・・・

「美味しかったよ・・・・」
「し・・・志貴様・・・」

ポロリ・・・

ああ・・・翡翠が泣いている・・・何故・・・

「・・・し・・・・様・・・貴・・・・・」

ああ・・・もう聞こえない・・・・な・・・・

 

 

 

パタ・・・・

「志貴様!志貴様!!志貴様あああああああああああ!!!!!」
「に、兄さーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!」
「し、志貴さん!志貴さん!!しっかりなさってください!!志貴さあああああん!!!」

「志貴様!!お願いです!!!眼を開けてください!!志貴様ああああああ!!!」

「とりあえず今は兄さんの部屋へ運びましょう!!琥珀!!急いで時南先生の所へ電話を!!急いで!!!」
「は、はい!!」

皆がパニックに陥る中秋葉は冷静に琥珀に支持を出す。その後秋葉は志貴を運ぼうとするが一人では持てなかったため

「翡翠!貴女も兄さんを運ぶのを手伝って!!」
「はい・・・」

翡翠の手を借りて二階に上がっていった・・・

「ほら・・・翡翠、泣かないで・・・」
「うっ・・ぐす・・・・志貴様ああああああ・・・・・」


翡翠を慰めながら・・・

 

 

翡翠編に続く