「なに・・・なんなのよ・・・あのサーヴァント・・・」

イリヤスフィールの後ろにいる巨大なサーヴァントは二メートルを越す大男でその身体は鋼のように逞しく、まるで鬼神の如く・・・まさか・・・・この・・・サーヴァントは・・・

「アサシン・・・あのサーヴァントは多分・・・」
「ああ・・・あいつは・・・」

バーサーカー・・・狂戦士のサーヴァント・・・

「ええ、そのとおりよ。アサシンとそのアサシンのマスター。」

「そんな・・・桁違いじゃない・・・。」

・・・このサーヴァントは今までの敵とは違う。こいつを甘く見てはいけない。
甘く見ていれば恐らくこちらが・・・


死ぬ・・・


七夜と華と運命と
アインツベルン 大橋の戦い

 

 

「こんにちは、ミス、遠坂。私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルンそして後ろにいるのが私のサーヴァント・・・」


「■■■■■■――――――!!!!!!!!」

「バーサーカーよ。」
「アインツベルン・・・そう、やはりこの戦争に参加していたのね。」
「ええそうよ、遠坂。参加しないなんて私たちにはありえないでしょう?」
「それもそうね。でも最後には私たちが勝つわよ?」
「ふふ・・・どうやら最優のセイバーのカードを引いたからといって強気みたいだけど」

イリヤスフィールの後ろにいるバーサーカーは主の命令が無いせいかずっと立っているのみ、逃げるのは容易い。しかしここで逃げていいのだろうか?

「私のサーヴァントには敵わないわ。」
「はっ、そんなのやってみなくちゃわからないじゃない!セイバー!!」
「はい。後ろに下がっていてください。」
「カレンって言ったわよね・・・貴女はこの戦争に参加をする気が無いのならここで引きなさい。これは遠坂とアインツベルンの戦い。やる気がないのならここで・・・」
「あら?そんなこと言っていていいのかしら?まあせっかく遠坂がやる気になっていて助けようとしているところ悪いけどマスターという時点で戦う資格がある。だからここで逃がす気はないわ。」

イリヤスフィールはどうやら私を逃がす気が無いようです。まあ遠坂凛を一人だけ残して行くのも気が引けますし結界のこともまだ詳しくは良く知りません。だから

「アサシン。」
「なんだ、マスター。」
「今回は引く気がないわ。バーサーカーを倒しなさい。」
「ふっ・・・了解だ。」

私はここで戦います。アサシンの言っていた言葉。
サーヴァントを呼び出した以上戦わなければいけない。今がその時だと思います。

「はあ・・・あんた達以外とお人よしね・・・。」
「遠坂凛も人の事がいえないのではないのですか?」
「はあ・・・あんたはその口をどうにかすればもっといい奴なのに・・・」
「リン!来ます!!」
「わかっているわ!セイバー!!今はアサシンと共闘しなさい!!!」

「ふーん・・・纏めてかかって来ても私のバーサーカーには敵わないわ。」
「それはやってみないとわからないですよ?」
「ふん、せいぜい言っておきなさい。バーサーカー!!」

「カレン、吾の後ろにいろ!!」

アサシンは私を庇うために前に出ていきます。それをイリヤスフィールは何もせずただ待っています。私が後ろにいきアサシンがバーサーカーの前に立った後・・・

「バーサーカー!殺っちゃいなさい!!」

「■■■■■■■■!!!!!!!!!!!!!!」

イリヤスフィールがバーサーカーに命令を出しそれを聞き遂げたバーサーカーは・・・

「いない!!一体どこへいったの!!!」
「上です!!遠坂!!!」

バーサーカーがその巨体に見合わないスピードでセイバーとアサシンに襲う。
正直ここまで桁違いだとは・・・

「セイバー!!前線を頼めるか!!!」
「わかりました!!」

 

 

 

冬木大橋中間部・・・

「■■■■■■■!!!!!!!!!!!」

バーサーカーが前面に居たアサシンに向け斧剣を振り落とす。

「・・・遅い。」

その一撃を横に飛び次の攻撃に向けて移動しながら避ける。

「■■■■■■■!!!!!!!!!」

アサシンと変わり前面にでた私がバーサーカーの斧剣の攻撃を受け止め、時には受け流し反撃する。

「せやああああああ!!!!」

それでもバーサーカーはセイバーの一撃を軽く弾きまた新たな攻撃を繰り出してくる。

「■■■■■■■■!!!!!!!!!」

「!!?、はあああああああ!!!!

ガギッ!!ガギギギギギッ

剣で受け止めてはいるのだがその一撃を受け切れてはいない。バーサーカーの剣を横に弾きその斧剣がコンクリートに落とされる。

ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!

バーサーカーの繰り出す一撃により橋は大きく揺れた。

「凄い攻撃だな。まるで暴風の様だ。」
「アサシン!!無駄口を叩くのは後にしておきなさい!!!」
「ふむ・・・先ずはアレをどうするのか・・・・」
「なにか手があるのですか?」
「あるにはあるが・・・」
「あの時リンと私の動きを止めた技は効かないのですか?」
「・・・できない、というわけではないが奴相手ではなかなかさせてはもらえない。」
「どうするのですか!!」
「ふむ・・・!?」

「■■■■■■■■■■!!!!!!!!!!!!」

「セイバー!!後ろから来るぞ!!!」
「!!!」

ブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!!!

風を切り裂く音と共に私に向けてその巨大な斧剣が振り落とされる。

その間にアサシンはバーサーカーに短剣を投げ牽制し攻撃をさせないようにする。

バーサーカーからなんとか引き私はアサシンの隣に立つ。

「・・・苦無が全く効かない。セイバーの攻撃はどうだ?」
「まだ当たってもいないので・・・どうにも・・・」

今、私たちの前にいるのはバーサーカー・・・本来弱いサーヴァントを狂化させ強くさせるサーヴァントなのですが・・・

「■■■■■■■!!!!!!!!!」

バーサーカーが再びこちらに来て襲い掛かる。

「くっ・・・まだだああああ!!!」

私の攻撃はバーサーカーの斧剣を弾き心臓目掛けて突くのだが

「効かない!?」

それを皮膚一枚であっさりと防がれてしまう。

「無駄よ。私のバーサーカーにはそんな攻撃ではまったく効かないわよ。」

正直桁違いです。彼の肌には私の剣もアサシンの短剣も効いてはいません。一体彼は何のサーヴァントなのでしょうか・・・

「■■■■■■■■■!!!!!!!!!!!!!」
バーサーカーが一瞬無防備になった私に対して斧剣を振り落とそうとするがアサシンの
右手から伸びているワイヤーにより一瞬だけ動きが止まる。

今度は目蓋を狙い攻撃をするのだが・・・

「ここも効かないのか!?」

ここも全く効かない・・・

「無駄無駄・・・バーサーカー!!」

「■■■■■■■!!!!!!!!!!!!」

バーサーカーが斧剣を私の頭目掛けて振り下ろそうとする。

「セイバー!!!」

アサシンが私のところまで来ると私を抱きその場から離脱し何とか避けることはできた。アサシンは片手で私を支え直すと反撃の為かバーサーカーとイリヤスフィールの方に何本か短剣を投げるが

「きゃあああ!!?」

「■■■■■■■■!!!!!!!!!!!!!」

バーサーカーは一瞬でイリヤスフィールの方に戻りその全ての短剣を弾く。

ストン・・・

「!?」

だがイリヤスフィールの頭の帽子に刺さる短剣は防ぐことができなかった。無論それを見逃すアサシンではない。

「・・・朱き月は舞い降り祖は落ちる。死の境地にて吾は今・・・

「!!?バーサーカー!!」

「■■■■■■■■■――――――――!!!!!!!!!!!!」

「くっ!!」

アサシンの詠唱に何か危険を感じたのかイリヤスフィールは短剣の刺さった帽子を投げ捨てバーサーカーをアサシンの方に向かわせる。そのせいか彼は途中で詠唱を中断し避けざるおえなかった。

「はあっ・・・はあっ・・・びっくりしたわ・・・何なの・・・そのアサシンは・・・」
「それについてはこちらも同意だわ・・・。」

リンと私は一度彼の技を食らっているためその怖さを良く知っている。それを初見で気づき避けることができたイリヤスフィールには同情する。

「何よ、そのサーヴァントは・・・イレギュラーも良い所だわ・・・。」
「貴女そのアサシンの事についてなにか知っているの?
「いえ・・・真名は解らない・・・でもアサシンの事は知っているわ。」
「それってどういう事?」
「はあ・・・」
「無能ですね・・・」
「なんでよ!!」

アサシンについて興味を持っていたリンの質問にイリヤスフィールだけでなくカレンも呆れたように溜息を吐く。

「まあいいわ・・・・」

凛の方を無視しアサシンの方に再び向き直るとイリヤスフィールは憎悪の眼でアサシンを睨む

「アサシンよくもやってくれたわね・・・。」
「・・・セイバーを殺させるわけにはいかなかったからな。」

アサシンの言ってくれたことは凄く嬉しかったのですが・・・イリヤスフィールの方は更に気分を悪くしています・・・

「ふん、私よりサーヴァントの方が大事?頭来るわね・・・。」
「すまん、でも君を殺すつもりは無い。できればここで引いてくれた方がこちらとしては嬉しい。」

「私に引けっていうの?・・・いいわ・・・でもね・・・・」

「・・・・・バーサーカー!!殺っちゃいなさい!!」

「■■■■■■■■■!!!!!!!!!!!!!」

「きゃああ!!!」

「カレン!!」

バーサーカーはイリヤの命令に何かを感じたのかカレンの方に向かいその手に持っている巨大な斧剣で切り裂こうとする。アサシンは何とかカレンを抱きかかえ離脱する。

「・・・一応聴くが何のつもりだ。」

「ここで帰っていうのならせめて私を満足させなさい。ってことよ・・・」
「なるほど、確かに納得はできる。つまり・・・」
「ええ、せめて私たちから逃げ切ってみなさい。」

つまり見逃して欲しいなら自力でこの場から引きなさい。逃げ切れれば私たちは追わない・・という事みたいです・・・しかし凛とアサシンのマスターがいる。それを逃げきれるのか・・・

「アサシン・・・その・・・」
「大丈夫だカレン。信じろ。」
「ええ・・・」
「しばらくは吾に捕まってくれ。」
「はい。」


「・・・アサシン、一応聴くけどそんな格好で私のバーサーカーから逃げ切れると思っているの?」
「ああ・・・その通りさ・・・・・時にイリヤスフィール。」
「なに?」
「バーサーカーに吾を殺す・・と言ったな。」
「ええ、それがどうしたの?」
「ふっ・・・」

なんでしょう・・・アサシンが不敵に笑っています・・・
私の直感がそれを嫌な予感がすると言っています・・・彼は一体何を・・・


「リン・・・」
「何よ。」
「一応私のそばから離れないでください・・・」
「・・・一体どうしたの?」
「いいから!!」
「わ、わかったわよ!!」


「それで?それがどうかしたの?」
「一応教えておいてやろう・・・。」


アサシンの顔に巻いてある包帯の隙間に一瞬蒼い瞳が見えたことに気がついたのは恐らく私と今アサシンの胸の中にいるカレンだけでしょう。

「教えてやろう・・・これが・・・」

短剣に地面に向けて投げる・・・その短剣は簡単にコンクリートに貫通する

ストン・・・・

「殺すということだ・・・」

貫通しただけではなく大橋のコンクリートに吸い込まれる。まるで硬さなど存在しないように・・・

「なに?なにが起こっているのよ?」

何も起きないことに凛は混乱しているみたいだが私には何が起きたのか解った。この大橋の自重が崩れていっていることを

バーサーカーも気づいたようだがもう遅い。今私たちが居るのは大橋の真ん中・・・

ぴき・・・・

「!!?」

バーサーカーの居る辺りに亀裂が出てきたのを見てイリヤスフィールも気がついたようだった。

「何を・・・何をしたの・・・アサシン・・・」

「さあな・・・。」

「ふざけないで・・・」

ぴきぴきぴき・・・・・・・

「本当に・・・そんな出鱈目なこと・・・」
「言いたいことは済んだか?」

めきめきめきめきめき!!!!!!!


「なにっ!!一体あいつは何をしたのよ!!
「解りません!!それより気をつけてください!!もうすぐこの橋は!!!」

私は凛を抱えて橋の入り口まで向かうがもう遅い、既にこの大橋は崩壊しかかっている・・・

「カレン!!しっかり捕まっていろ!!!」
「は、はい!!」

アサシンはカレンに外套を被せ衝撃に備える。正直もう間に合わないのだ。それしか手段は無い。

「アサシン・・・貴方は一体・・・」

 


ガラガラガラガラガラガラ!!!!!!!!

 


ドッッボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!

 

 


イリヤスフィールの呟きとともに冬木大橋は崩壊した・・・

 

 

続く