あの夢は一体何なの・・・それに・・・あのアサシンの眼は・・・

「アサシンの蒼い眼・・・少年の蒼い眼・・・」

あれはアサシンの記憶なのだろうか・・・

以前、彼を七夜志貴と思い色々と調べていたときがあったがあまり成果はなかっ

た。
しかし今回はどうだろうか・・・

幼き頃に会ったという銀の髪をした少女・・・

黒髪でとても綺麗な蒼い眼をした少年・・・

アサシンの髪の色は黒・・・胸の傷・・・
そしてあの包帯の下の目の色は蒼・・・あの少年とあまりにも共通点が多すぎる

・・・
しかし彼は今・・・

「記憶喪失・・・」

英霊となりあの夢でいうこれからの敵を倒してから私と会うまでの幾度という時

間・・・

恐らく世界は彼を守護者として世界の敵と戦わしたのだろう。
彼がたとえ望まない殺しをさせるとしても

それを幾度繰り返させる・・・

世界を守るための抑止力の存在として・・・

願いの対価が大きかったせいか彼はその対価を払うために戦い磨耗していった・

・・

そして私の所に辿り着いた時には・・・

「全てを忘れてしまい名も無いサーヴァントになって召喚された・・・」

いや、本来自分は事故でサーヴァントを呼び出しこの七夜志貴が出てきた・・・
だが志貴はまだ払うべき対価を払っていなく世界はそれを許さず志貴の記憶を奪

い名無しサーヴァントにして私の元に出した・・・だろうか・・・

「いずれにせよまだそれは解らない・・・それに・・・」

私はポケットから七つ夜を取り出し刃を出す。その刀身は光に反射してとても綺

麗だった。

彼がまだ七夜志貴かどうか解っていないのではないのか?
彼ならばあの七つ夜と書かれた短刀を持っている・・・まだそれを見ない事には

自分は・・・

「はあ・・・せめて彼の記憶さえ戻ってくれれば良いのですけど・・・」

今はまだこの事を自分の胸の中だけに留めといたほうがいいと判断し私は七つ夜

をしまった・・・

「とりあえずアサシンのいる所に行って見ましょう・・・」

 

 

 


・・・あれ?

 

 

 


「そういえばなんで私は家で寝ているのでしょう?」

 

 

 

七夜と華と運命と
同盟

起きて居間に向かうとそこには赤い奴(遠坂凛)がいた

「おはよう、カレン。」
「・・・なぜここに遠坂凛がいるのですか?」

・・・何勝手に人の家の居間でくつろいでいるのですか、この赤いのは・・・

「貴女のアサシンが大橋をぶっ壊すなんていう前代未聞の滅茶苦茶な事をしたせ

いよ。そのせいで私とアンタは河に落ちてずっと気絶していたらしいわ。」

・・まあ勝手にお茶を出して飲んでいるのはこの際放っておきましょう・・・で

「その前に遠坂凛、勝手に茶を飲むのはともかくちゃんと片付けて置いてくださ

い。」

この人に躾だけはしとかなければ多分これからも居付いて我が物顔で亭主面をし

そう・・・・
なぜかこの女を見て直感的にそんな気がした。

「・・・いきなりそれ?・・・・・まあいいわ、それよりも・・・」
「よくありません。せめて勝手に使ったことぐらい断りなさい。」
「わ、わかったわよ・・・」

 


やはりこの人には躾が必要かもしれない・・・

 


「・・・でなにを話すのですか?」
「ええそれの事なんだけど・・・」

遠坂凛・・・いちいちフルネームで言うのは面倒なので凛と呼びましょう。
凛は飲んでいたお茶をテーブルに置きこちらを向き真面目な顔になる・・・一体

何なのでしょうか・・・

「単刀直入に言うけどカレン、私と同盟を結ばない?」

同盟・・・ですか・・・・

「凛・・・理由を教えてください。私と組むメリットは貴女には何も無かったは

ず・・・」
「あら?メリットならあるわ。」

メリット・・・なんなのでしょう?

「バーサーカーの事とかね。」

「バーサーカー・・・昨日アサシンが橋をぶっ壊してそのまま落盤させて倒した

のでは?」
「ううん、セイバーに聴いたけどバーサーカーはあれじゃ死ななかったらしいわ

。そのマスターのイリヤスフィールもバーサーカーが生きていることを考えると

確実に生きているわね。」
「そうですか・・・」

「話し続けていい?」
「ええ。」

「それでメリットなんだけど・・・」

凛が眼鏡をつける。

「一つはあのバーサーカーの事よ。正直あのサーヴァントは桁違いだわ。私とセ

イバーだけでも勝てるかどうか危うい・・・そこを考えると貴女のアサシンのセ

イバーをも倒しあのバーサーカーから逃げ延びることができたという彼の戦力が

欲しい・・・」
「なるほど。確かに私のアサシンは強いです。でもそれだけで同盟を組むのとは

・・・」
「まだあるわ、もう一つは学校の結界の事。」
「学校の結界ですか・・・」

たしか昨日そんなことを彼女は言っていました。でもそれは今と関係ないと思う

のですが・・・

「ええ、学校の結界は私が思っている以上に厄介で解呪はできなかった。だから

そのままになっているのでけど・・・」
「つまりそれらを含め私とアサシンの力を借りたい、との事ですか?」
「そうよ。」

つまり凛はこう言っている

・バーサーカーと戦う時はアサシンと私の力を貸して欲しい。

・学校の結界を対処する時に横から来る敵から自分を守って欲しい

・自分やセイバーの助けを出すからそれまでは共同戦線を張る。

 

正直私としてはあまり聖杯戦争には介入したくなかったので断ろうと思っていた

のだが、

「私としてはあんた達にバーサーカーの時に助けられた借りを返したいのよ。だ

から考えてくれない?」

・・・まあこちらに悪い条件があるわけでも無いし遠坂凛は信用できる部類には

いる。
彼女の条件を飲んでもいいでしょう。

「私としてはあまり戦争に介入したくないのですが貴女が困っているというのな

ら助けましょう。」
「・・・条件飲んでくれたのは嬉しいけど貴女それを無償でOKするの?」
「ええ、私はシスターですから救いを求めた者は助けるのが義務です。」
「よく言うわね。」
「義務ですから。」
「それじゃあ成立ってことでいいかしら?」
「ええ、構いません。」

 

とりあえず遠坂凛との同盟を結んだのはいいのですが私は元々アサシンのことが

気になってここへ来たのです。一体彼はどうしたのでしょうか?

「ところで彼は何処へ行ったのか知りませんか?」
「彼・・・アサシンのこと?」
「はい。」

なんでしょう?凛の表情が苦虫を潰してしまったような顔になっていますが・・


何故だか嫌な予感がします・・・

「あいつは貴女を庇ったせいで今は安静中よ・・・」


その言葉を聴いた時・・・

 

 


気づいたら私は居間から彼の居る所へと向かってしまっていた・・・

 

 


―自分を助けてもらった人たちを救い、そして守り続けたい―


彼は自分の幸せのことを考えていない・・いつもいつも自分を犠牲にして自分の

事を何一つ考えていない・・・そう思うとなぜか自分はとても腹ただしくなり・

・・


そして・・・

 

ポタ・・・・・


「なんで・・・涙が・・・・」

 

気が付いたら自分の眼から涙が出ていた・・・


                                    

続く