「セイバーのマスター、」
「何?アサシン。ああそれと別に名前でもいいわ。」
「ああ、では凛。こんな所まで来て一体どうしたというのだ?」

吾を連れてきた理由とはなんなのだろうか?

「ええ、ちょっと貴方に手伝って欲しいことがあってね。」
「手伝ってほしいこと?」
「そっ・・・」

彼女・・・凛は夜の学校の屋上に続くドアの鍵を開けると中心部まで歩いていった。

「どう?アサシン。この結界貴方なら解呪できそう?」

そういうことか・・・

「吾は魔術師では無いからこの手の物は解らないのだが・・・」
「あら?あの時橋を見事なまでに壊した貴方が言う台詞じゃないわね?」

この少女は中々鋭い・・・吾の能力に気づきかけているな。

「私は貴方なら出来ると思うからここに連れてきたのよ。まあ最悪の場合は橋の時みたいにここらへん一体ぶち壊せばいいわ。」
「いいのか?」
「ええ」

何を考えている?凛

「一応聞くが何故だ?」
「ここで人が沢山被害に遭うか建物が壊れるだけで済むか・・・考えたら解るでしょう?」
「確かに・・・質問して悪かった。」

この少女は頭が切れるだけではなく人道をちゃんと持っている・・・

魔術師としては甘いかもしれないが吾はこっちのほうが好感は持てる・・・
セイバーのマスター、遠坂凛は間違いなく優秀なマスターだ、と吾は認識した。

 


七夜と華と運命と
生と死、命の戦い

 


夜の校舎から公園沿いの道を歩くこと十分・・・
アサシンは結界を始末したらしく今私たちはカレンの家に向かっている最中だった。

「ところで貴方に聞きたいことがあるのだけど?」
「なんだ?」

私はまだ彼に聞いていないことが沢山ある。
先ほどは聞けなかったがあの詠唱・・・

−朱き月は舞い降り祖は落ちる。死の境地にて吾は今舞い踊る−

「あの時私の魔力を消し動きを抑えていた技・・・聞いてもいいかしら?」

あれが一番気になっていて頭から離れない・・・

「朱き月・・・祖は落ちる・・・一体どういう意味なのかしら・・・」

「・・・」

こいつにとっては聞かれたくないことかもしれない。

「答えなさい。アサシンあれは一体何なの?」

だが・・・それは最悪のタイミングで邪魔が入り結局聞けずじまいになってしまう。

「凛、伏せておけ。」
「え?」

私が身体を下に伏せると同時に


トスッ・・・


そこには鎖の付いた釘のような短剣が私の後ろの樹の幹に刺さっていた・・・

 

 

 

 

あのサーヴァントは奇襲したのにも関わらず避けることを容易くやってのけた。
しかもたった一声でマスターを守った・・・

「・・・面白いですね。」

■から■■にマスターに移った時私はくだらない命令ばかり聞かされていて正直

うんざりとしていた。

そんな時学校に張っていた結界を破壊されたことを聞いた私は顔には出さなかったがとても嬉しかった。なにせ■はあの結界の事を良く思ってなかったのだ。自分もあれは良く思っていなかったため壊してくれた人に敵ではあれ感謝したい気分でもあった。

「ライダー!何やっているんだよ!!この愚図が!!!」

後ろに居る■■はともかく結界を壊した人達に会って見たい・・・私はそう思いながら■■の命令に従いここまでやって来た。

その人達ならもしかしたら■を・・・

「いきなり会って頼まれてくれる人なんていませんね・・・」

私は叶わない願いを胸に秘めながらもサーヴァントとマスターの元に向かうのだった・・・

 

 


「な・・・何なのこれは・・・」

後ろに刺さった短剣を見ながらそう呟く。まさかいきなり奇襲されるとは思わな

かったからだ・・・まさかここまでマスターをあからさまに狙って来るとは・・・

「大丈夫か?」
「ええ、」

こんなことで私は引くわけには行かない・・・
多分こいつらは・・・

「大丈夫だ、君は強い。こんな事で負けはしないだろう?」
「ええ、頼りにしてるわよ、アサシン。」
「勿論だ、それと凛。多分このサーヴァントが学校に結界を張った犯人だろうな。」

やっぱり学校に結界を張った犯人なのだろう。だとしたら私はこの冬木市のセカンドオーナーとして負けるわけにはいかない。

「迎撃するわよ、付いてきなさい。」
「了解だ、」

 

私は敵を倒すために釘剣の鎖の伸びているほうに向かった。

「凛、気をつけろ!敵もこちらに向かっている!!」
「ええ、アサシンはサーヴァントを、私はマスターの方をやるわ!」
「了解だ!!」

アサシンが短剣を構えると同時に鎖が付いた釘剣がこちらに向けて飛んでくる。

しかしアサシンがそれに気付いていたのか短剣を投げ、釘剣は別の方向に逸れる。

「そこか・・・」

アサシンは釘剣を投げてきたサーヴァントの居場所を特定し反撃をする。

かなり速いスピードでアサシンとそのサーヴァントは戦っている為、私にはどんなサーヴァントだか解らないがアサシンに任せ再びマスターを探し叩く準備だけはしておく。

「一体何処にいるのか・・・」

サーヴァントが此処に居るというはマスターも必ず此処に来ているはず・・・

「結界なんて張っている奴だから絶対ここに来るはずだわ・・・」

こういうタイプなら絶対状況を確認しにくるはず・・・

私の予想は間違いなく当たる・・・

「・・・居たわ!!」

其処には本を片手に持ち薄ら笑いをしている間桐慎二が居た・・・

 

続く