少年はやがて英霊になり少女の元に向かおうとし戦い続ける。
その手にもつ刃は血に濡れ朱い色になってしまっていても少年は向かう。

幼き頃より人外の血を抑えるためだけに道具として使われ続けた少女を守るため・・・

感情を忘れてしまい悲しみにくれる少女・・・・

■■の隠れ里にて出会った少女に再び会うために・・・

どんなに傷ついても戦った・・・

自分にはそれしかなかったから・・・

 

 

七夜と華と運命と

 

 

カレンが目覚める前に俺は外に出て見張りをする。奴から逃げたとしてもまだ危険が去ったわけではない。

それに気になることがあるために外で考え事をしたかった。

俺が見た夢・・・

「・・・あれは。」

吾の・・・記憶・・・

「そうか、」

カレンが知っていたというのはこの現象のためか、たしかサーヴァントとマスターが繋が
っているのはラインだけではない。心も繋がっている・・・

本来サーヴァントは夢を見ない。見るといってもカレンの過去とか自分の過去のみ。

カレンに流れた記憶がラインを通じて自分に逆流してきたのか?

「自分は魔力供給ラインが繋がっていないけどな・・・」

「アサシン、そんな所で何をしているのですか?」
「セイバーか。」

セイバー?そういえば居たんだったな。てっきりカレンだけだと思っていたが・・・

恐らく見張りも兼ねて外にいたんだろう。

パタパタパタ・・・・・

そうこう思っているうちに・・・来たか

「クルックー、クルックー」

「は、鳩ですか?」
「いや、鴉だ。」
「鴉・・・」

一応偵察用の鴉だ。よく使う。

「近辺を偵察させていたんだ。」
「なるほど、使い魔の一種ですか。」
「ああ、まあそんな所だな。」
「でも鴉じゃ・・・」
「まあ気にするな。」

まああの吸血鬼も鴉と呼んでいたし・・・ならば俺も鴉と呼ぼう。

「・・・」
「・・・」

とりあえず鴉を外套の中に戻し・・・

「それはなんですか?」
「だから鴉・・・」
「・・・今コートに入った事です。」
「まあ気にするな。」
「・・・またそれですか。」

まだ言うわけにもいかないしな。

「・・・」

「なんだ?セイバー?」
「いえ、」

よく見るとセイバーが先ほどから俺をジロジロと見ている。なにか変なものでも付いているのか?

「あの・・・」
「・・・何故俺を見ているんだ?」
「いえ・・・」

いつものセイバーとは違いなんだかはっきりしない。どうしたんだろうか?

「いつもとなにか雰囲気が違ってて・・・」
「雰囲気?別に俺はいつもどおりだけど?」
「・・・やっぱ違います。」

何が違うのか?

「わからん・・・」

「セイバー、」
「あ、リン。」
「調子はどう?」
「まあ何とかいける。」
「そう。」

むっ、セイバーのマスターが来たか。まあこの話はお流れか。

「ねえ、何でいつも 吾 とか言わないで俺と言っているの?」
「ええ、私も気になります。」

・・・

俺・・・吾は何か変わったのか?

もしかしたら記憶を見たのが影響しているのだろうか?

「し・・・アサシン、外に居たのですか。」

むっ、カレンもどうやら起きたみたいだ。
とりあえず今は現状をどうするか考えなければ・・・

 

 

 


「ふう・・・結局出るのに時間が掛かったわね・・・」

本当にあのサーヴァントはやる事が出鱈目だ。まさかあの場面でこの場面を打開するとは・・・

「窮鼠猫を噛むと言う奴かしらね?」

意味はよく解らないが多分この事を言う言葉ではないのだろうか?
まあこうして私たちが生きている以上はあのサーヴァントを追おう。なにせバーサーカーを三回もとんでもない手段で殺した英霊だ。今ここで殺しておかなければいけないと思う。
ちょっともったいない気がするがここまで来た以上遊ぶわけには行かない・・・

「バーサーカー。」

「■■■■■■■■■―――――――――――――!!!!!!!!!!!」

だから今ここで倒す。

「行くわよ。」

この森に入ったものはどこにいるかすぐ解る。だから慌てる必要はない。
ゆっくりと私はあいつ等がいる方向と向かう。

「ふふ・・・逃がさないよ。」

 

 

 

 


「―――――妄想心音――――」

「遅え!―――刺し穿つ死棘の槍―――」

アサシンの作り出す偽の心臓を呪いにより共鳴させる過程の間をランサーは最速を持って宝具を叩き込む。

さすがに宝具発動中の間ではアサシンの敏捷性は生かされず呪いの槍を心臓に刺し込まれる。

「ぐふ・・・」

それでも心臓を離さずに最後まで発動させ握りつぶそうとするのだが・・・

「させるかよ!!」

ランサーに蹴られその心臓はその手から零れ落ちる。その後魔力が構成されずに消え果てしまった。もはや勝敗は決した。アサシンに逆転のチャンスは無い・・・

「無念・・・」

アサシン・・・ハサン・ザッバーハはランサーに破れその場から消滅した。

これで残り五騎・・・

「ちっ、つまらねえな。こんな奴と戦うために俺は呼び出されたんじゃねえっつうんだよ。」

まったく今回はこんなのばかりで自分の楽しめねえ・・・

「せめてあっちのアサシンと戦いたかったな。」

こんなんじゃねえ、自分はもっと死闘を楽しみたい・・・

不完全燃焼なのかランサーは不機嫌気味だった。
ランサーにとってはアレは戦闘という事にもならなかったらしい。

「あー、つまんねえ。」

今回の戦闘でも戦闘らしい戦闘は無かった・・だがその戦いの中で彼が満足できたのはたった二騎のみ・・・

その中で邪魔が入り仕留められなかったあの騎士と最後のサーヴァントのアサシン

そのどちらとも戦いその実力をランサーは感じ取った。

戦士としての楽しみはあいつらしか感じられなかったから・・・

ランサーにとって今はそちらにしか興味が無かった。

 

「アサシンとはすでに戦ったから令呪の制限が無かったか。」
「あ?テメエ来てやがったんかよ。」

その後ろでマスターらしき人物が近づいてきてるのをを気にせずに暴言を返すランサー
そのマスターらしき人物はあまり気にしないでランサーに返す。

「なに、私はちょっとこのアサシンのマスターの老人に用事があったのでね。」
「ほう、それはご苦労なこった。」
「もう用事は済んだ、さっさとお前は引き上げろ。」
「けっ、言われなくてもこっちから消えるさ。あばよ!」

ランサーは一瞬でこの場を離脱、後には戦闘の後と男のみ・・・

「ふむ、これで残りおサーヴァントは五騎・・・か。」

一体誰が最後まで残るか、男にとってはそれしか興味はない。

「ふっ・・・遠坂にマキリにアインツベルン、それにカレン・・・」

役者はそろった。舞台の調整は済んだ。

後はどう動き出すか・・・

「面白くなるな。」

それを男は愉快そうに笑いながら傍観していた・・・

 

続く