さぁ踊れ

血塗られた戦場を

開戦を祝うは

闇夜と白月


赤き剣製と蒼き剣聖

第四話 開戦

今私の見ている光景は人外の戦い

いや、もはや生物の域すら超えている

それはまるで恐怖を形にしたようなもの

目の前に映るのは

もはや戦いではなく一つの完成された舞だった

 

「なんだよ。消しちまうのか、もったいねえ。」
其れはいきなりの訪問だった。

 

 


「驚いた。もしもの話ってホントにあるのね・・・」
「ああ、私も驚いている。杞憂で済めば、と思っていたのだがな・・・」
私たちは今彼女の通う学校に来ている。
それ自体に問題は無い。その問答は家ですました。
だが問題は・・・・・・・
「空気が淀んでいるどころの話じゃない。これ、もう結界が張られてない?」
そう、私たちがこんな所で足止めをしているかというと、この忌々しい結界のせいである。
「そのようだな。だが、完全に出来ているというわけでもないようだ。まだ準備段階といった所だろう。」
「ここまで派手にやるなんて、いったいどこの馬鹿よ!!」
「私に言われても困るのだが・・・・・・。それで、君はどうするのだね?」
「? どうするって、なにを?」
「この結界の事だよ。対策を打つのか、捨て置くのか、様子を見るのか・・・」
いや、そんなことは聞かなくても分かることか。
「勿論、わたしのテリトリーでこんな下衆なモノ仕掛けたヤツなんて、問答無用でぶっ倒すだけよ!!」

 

 

 

結界という物は一括りに「結界」といってもいろいろなものがある。
世界と空間とを隔離するもの、人が自然と近づけなくするもの、そして攻撃として使用するもの。
また、同じ魔術でも使用者によって効果も威力も代わってくる。
しかし、これは異常だ。もはや結界という範囲から位置脱している。
いや、すでに魔法や宝具といってもいい。


私たちはいま屋上に来ている。
放課後になるまで待ち、辺りが暗くなるまで時間をつぶした。

改めてこの結界を見る。
もはやこの効果にため息さえ出てくる。
調べてみると能力は結界内の対象物の溶解と吸収であった。
確かに有効的な方法だろう。こんな目立つところに構築したのは頂けないが、魔術師としても、戦闘者としても間違いではないだろう。だがしかし・・・・・
「アーチャー。貴方たちってそういうモノ?」
「・・・・・・ご推察の通りだ。我々は基本的に霊体だ。故に、精神と魂を栄養とする。栄養をとったところで能力に変わりはないが、魔力の貯蔵量はあがっていく。つまりタフになるのだ。」
「―――マスターから提供される魔力だけじゃ足りないってコト?」
「・・・足りなくはない。が、多いに越したこともない。実力で劣る場合他で補うのが戦争だ。そういった意味ではこれは効率がいいが・・・・・・気に入らんな。」
「同感。・・・・・・さて、それじゃあ消そうか。無駄だろうけど、とりあえず邪魔をするぐらいにはなる・・・」
「なんだよ。消しちまうのか、もったいねぇな。」
「!」

声が聞こえた時点で動き出す。
相手の攻撃を間一髪でよけ、凛をつれてグランドに向かって飛び降りる。
おそらくランサーかライダーだろう。
たとえ気が緩んでいたとしても背後に立たれるまで気付かないはずはない。
だとすると、気付くまえに近寄ったか気配をたったかしかない。
だとするとアサシンも含まれるがアサシンならば声をかける前に攻撃してくるだろう。
「ふっ!!」
後ろからに攻撃を屈んでよけ、相手と向き合う。
「ほぉ、いい動きだ。」
防御よりも機動力を優先させた防具と約2メートルの、まるで武器が血を啜ったような深紅の槍。
「ちっ!」

 

 

 

頭が痛い

 

「アーチャー―――!」
呼ばれると同時に彼女の前に立つ。

・・・さすがというべきか。
威圧感はまるで壁のように厚く、動きに隙がない。
「ランサーか。」
「如何にも。そう言うお前はセイバー・・・・って感じじゃねえな。何者だ、テメエ!?」
「・・・・・」
いきなりの殺気が襲い掛かる。まるで獣だな。
「・・・・・・ふん。真っ当な一騎打ちをするタイプじゃねえな、テメエは。って事はアーチャーか?」
その問いの答えを沈黙で返す。
「・・・・・・いいぜ、好みじゃねえが出会ったからにはやるだけだ。そら、弓を出せよ、アーチャー。これでも礼は弁えているからな、それぐらいは待ってやる。」
確かに、もう始めていいだろう、もともとこの問答に意味はない。
だが、今のこの身はサーヴァンドだ。ならば・・・
「手助けはしないわ。貴方の力、ここで見せて」
「―――クッ」
自然と笑いが出た。

 

瞬間、
手に1対2刀の剣を創り出す。
恐らく、最も多くの時間を共にし、最も使い慣れたであろう剣。
構えはとらない、それが構えであるから。
対してランサーも槍を引き上げ、刃を私の首に向ける。

 

動かない。いや、動けない。
両者の間は10メートルを切っており、ただの一息で差は零になる。
だから動けない。攻撃すると言うことは自ら隙を作るのと同じであるから。
もはや空気が刃となり、沈黙が響き渡る。


10分か、20分か、すでに時間の進み方が狂い、場が異界へと変わろうとしていた時、
初めて動きがあった。
最初に動いたのはランサーだった。
まるで閃光のように間合いを詰め、その勢いのままアーチャーの喉を狙う。
それはただの一振りでありながら必殺の一撃へと昇段していた。
それをアーチャーは右手に収めた剣で弾き左手に収めた剣で同じくランサーの喉を狙う。
その攻撃を刃先で捌き今度は3度閃光の突きを放つ。
狙うは心臓、喉、眉間の人体急所。
それをまた捌き、今度は右の剣を振り上げ顎を狙う。
それを一旦引くことにより避け、また静寂が訪れる。
その攻防は一瞬の出来事で常人では認識すら出来ないであろう。

 

その先はもはや言葉にすら出来なかった。
ランサーはすでに光としか映らない突きを幾度も放ち、それをアーチャーはすべて捌き、反撃に転じる。
ランサーが光ならばアーチャーは水だろう。
動きに型はなくただその時々に応じて最適の動きをとり、相手の隙を狙う。


すでに100合の打ち合いは優に超えたとき

ザッ!!!!


「!!!・・・・テメェ!!」

アーチャーの放った一閃がランサーの右肩に奔り、ランサーの血がグラウンドの土に染み込む。
「チッ、弓兵風情が剣士の真似事とはな―――!」
だが、事実は変わらず傷は消えない。

強者同士の戦いになればなるほど小さな傷が戦闘の勝敗に大きく関係してくる。


突然、場の空気が変わる。
深い沈黙は重い鎖となり、空気は異常な殺気に悲鳴を上げる。
まさに異界と成ったこの空間はもはや人の踏み入れる領域を逸脱している。

「テメェがただの弓兵ではないことは分かった。だからこっちも全力で迎え撃とう。
受けるか?我が必殺の一撃を。」
罠、その単語が頭に浮かび瞬時に消えた。
この男がそんなつまらないことはしないだろう。
ただ、自信が有るのだ。
絶対に敵を殺し、自身に勝利をもたらす自信が・・・
ならば・・・・・
「受けてたとう・・・」
そこ言葉と共に場は異界から死界へと変わる。

 

 

深紅の槍と無限の剣


勝敗を知っているのは


戦いの女神のみ

 

 

つづく

 

あとがき

お久しぶりです。
年末、学業と実家の手伝いでろくに書き進めることが出来ませんでした。
さすが師走、恐るべし。
これからはもう少し早く書き進めたいと思います。
今回、初戦と言うことで戦闘シーンを主に書いていきましたが、やっぱり戦闘シーンは難しいもので苦労しました。
まだ少し納得いかない部分があるのでこれから改善していきたいと思います。
それではまたいつかお会いしましょう。

 

補足説明


・アーチャーの強さは原作よりも強めです。

・いちようカップリングはセイバーとの予定ですが下手をしたらハーレム物に成る恐れが有ります。