始まりの鐘

其れが鳴り響くのは

暫し後

 


赤き剣製と蒼き剣聖

第三話  開戦


風が心地いい

それはアーチャーというクラスからか

それとも生前の思い出か

なぜか知らないが

風が好きだ

 


「どう?ここなら見通しがいいでしょ、アーチャー?」
「・・・・・・はあ。将来、君とつき合う男に同情するな。よくもまあ、ここまで好き勝手連れ回してくれたものだ・・・・・」
「え? 何かいった、アーチャー?」
「いや、素直な感想を少しな。」
今、私たちがいるのは新都にある一際高いビルの屋上だ。
そして私の隣にいる我がマスターは数時間町を歩かし続けた挙句こんな高いビルに登らしたのだ。
肉体的にはなんとも無いが精神的にはかなりキツイ。
「これなら最初からここにくればよかったな。そうすれば手間もかからずにすんだ。」
「なに言ってるのよ。確かに見晴らしはいいけど、ここから判るのは町の全景だけじゃない。実際にその場に行かないと、町の作りは判らないわ。」
「――そうでもないが――」
もともとアーチャーというクラスは鷹の目というスキルが存在する。
さらに魔力による強化でその視力は異常だ。
「そうなの? それじゃあここからうちが見える、アーチャー?」
「いや、流石に隣町までは見えない。せいぜい橋あたりまでだな。そこまでならタイルの数ぐらいは見て取れる」
「うそ、タイルって橋のタイル・・・・・・!?」
そう言い目を細める。
まったく、そういう行動は年相応の少女と変わりはない。
「びっくり。アーチャーって本当にアーチャーなんだ。」
「・・・・・・凛。まさかとは思うが、君、私を馬鹿にしているんじゃないだろうな?」
「そんな訳じゃないわよ。」
「まぁいい。そのことは帰ってから問い詰めよう。」
そう言って振り返ると彼女はビルの下を睨んでいた。
「凛。敵を見つけたのか?」
「―――別に。ただの知り合い。わたしたちには関係のない、ただの一般人よ。」
そう言った顔は不機嫌そのものだった。
何が彼女を苛立たせたかは知らないが敵ではないのなら問題は無いだろう。
「アーチャー! 行くわよ!」
そう言った彼女は腕を組みこちらを見つめている。
その不意気はまさにマスターに相応しい。


開幕の鐘は

血の雨と共に

この町を

深紅の紅に染め上げるだろう


つづく


あとがき

すいません。今回は学業、そして部活により筆記時間のかくほができませんでした。
もし、読んでいてくださっていた人がいたら申し訳ありませんでした。
今回はかなり短くなってしまったのですが、急ぎ次の話に進めたかったのでしょうがなくかなりのカットをさせて頂きました。
さて、次回はいよいよ戦闘シーンに移りたいと思います。
それではまた次回よろしくお願いします。