今私の目の前で最優のセイバーを相手に互角に戦いこの私を地べたに這い蹲らせているアサシン・・・

私は今回の聖杯戦争を勝ち抜くつもりだったのに・・・

「チェックメイトだ・・・。」

あっさりとやられてしまいました・・・

 

 


七夜と華と運命と
カレンVS遠坂


「なんで・・・なんで負けるのよ!!なんであんたみたいな弱そうなサーヴァントに最優のセイバーが!!」

・・・納得できない!!こんなの・・・こんなの!!

「リン・・・」
「ふっ・・・」

・・あのシスター・・・鼻で笑いやがった!!

私は指先からもう一度「ガント」を出そうとしたのだがやはりそれは発動されなかった。指でこの結果ならおそらく宝石を使っても駄目だろう。なんせ体中から流れる魔力がまったく感じられないのだ。今の私は文字通り丸裸なのである・・・

「情けないですね、遠坂凛。」
「なっ!!」

しかも地面に短剣で縫い付けられているというオマケ付き・・・

「貴女は自分の敗因をサーヴァントのせいにするのですか?それは大きな見当違いでしょう。」

「何故よ!!私がいつそんなことしたっていうのよ!!」
「・・・貴女は私のアサシンを過小評価してそれを勝ったも同然、というふうに見て何もしなかった・・・違いませんか?」

「!!!」
「それをアサシンが狙い貴女を狙ったのを見て慌てて攻撃態勢に入ったのを
あっさり防がれて今、その状態になっている・・・違いませんか?遠坂凛。」

「あんただって何もしていないじゃない!!それに私は!!
「黙りなさい、遠坂凛。本来なら貴女は此処で死んでいるのですよ?それを今殺していない状況なだけです。敗者には何も言う権利は無いですよ?」

!!悔しいけどこいつの言うとおりかも知れない。私は自分とセイバーの力を過信していたのかもしれない・・・

「それにいくら『最優』とは言ってもそれは言われているだけであって実際のサーヴァント戦では意味はありません。それを今の戦いが証明しています。」

「そ、それは・・・」
「聖杯戦争は戦い、動き、考え、予測し、時には自らさえ動く・・だから『戦争』と名が付くのです。それを貴女は理解せずただ性能が良いから強い、と勘違いしています。」
「ぐうう・・・」
「その状態でアサシンをひ弱そうなんて言って貴女は何も出来ないで今の地面に這い蹲っている体勢にされている・・・。正直頭は大丈夫ですか?」
「ううう・・・」
「貴女は優秀、と聴いていましたが正直がっかりです。まあ殺すつもりはもともと無いですからせいぜい頑張って生きて這い蹲ってください。この負け犬。」

ぷちっ♪

「てってめえええええええええええええ!!!!!」
「さて・・・アサシン・・・先ほど言っていたのですがここから離脱できますか?」
「ああ、可能だ。そのために動きを止めたのだしな。拘束が解けたにしろ余裕で立ち去れる・」
「そう。」

くっ・・・このままでは奴らが逃げてしまう・・・せめてあのシスターだけでも殴りたい!!
とことんコテンパンになるまで殴りたい!!殴りたい!!

「・・・」ニヤリ・・・

くっ・・・あのシスターこっちを見て笑っていやがる!!畜生!!マジムカつくわ!!!

しかも時折こっちを探るような眼つきをしていやがるし・・・

「・・・アサシン、ちょっと良いですか?」

てめえ・・・逃げる気か!!

「・・・」
「いいですか?」

「・・・了解した。」

ぼわんっ!!モクモクモク・・・・・

「げほっ・!!げほっ!!」

アサシンが右手で何かを叩きつけると突然爆発が起き煙がメチャクチャ出てくる。
ちくしょう、あのシスター多分アサシンにわざとやらしやがったな!!

「リン・・・その・・・大丈夫ですか?」

気が付くとそこには束縛からいつのまにか抜け出したセイバーだけだった・・・
しかも顔を赤らめているし・・・

「その・・・アサシンが手荒なことをしてすまなかった・・・と・・・」
「はあ・・・」

そんなこと聴いていないっての・・・

「・・・ああ、アサシン。貴方はなぜ・・・。」
「おーい・・・帰ってこーい・・・」

まあ大丈夫そうだからほっておくか・・・

「身体は・・・と・・・」

よく見るとそこにはさきほどから刺さっていた短剣と服の弛みをねらった短剣も抜かれていた・・・

うん・・・動けるわね・・・

呪縛が無いか確認しながら私は立ち上がると

「リン?」

横にいるセイバーを無視しながら・・・

「畜生・・・この恨み・・・ぜってえ、晴らしてやる・・・」

クソシスターに復讐を誓うのであった・・・

 

 

 

 


おまけ

注)アーチャーが凛をお姫様抱っこして飛んでいるところだと思ってください。

 

「ふふふ・・・」
「・・・マスター、本当によかったのか?」
「ええ、構いません。よくやってくれました。アサシン、貴方が本当に私のサーヴァントで良かったわ・・・」
「・・・そうか。」
「あら?つれないわね。私は貴方がこんなにも気に入ったというのに・・・」
我に抱かれている体勢から華のように微笑んでいるのは非常に愛らしいのだが・・・
「吾は本当にこのマスターで良かったのであろうか・・・」
「・・令呪「吾が悪かった。」・・・そうですか。」

・・・なんていうか黒かった・・・

 


そのころ・・・

「凛、なんでさっきから月のほうを向いているのですか?」
「・・・うるさいわね。気分よ、気分・・・」
「凛・・・一体どうし・・・プッ・・・ククッ・・・・」
セイバーが凛の顔を覗くと・・・

「くう・・・ガント!!」

スカッ!!

・・・魔力がないのを忘れていた凛・・・

「どの道私には効かないのに・・・プッ・・・」
「黙りなさい!!」

そこには額に『肉』とマジック(油性)で書かれ両頬には『馬鹿、私は負け犬です。』と書かれていた凛の顔があった・・・

「あんの・・・クソシスタアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!
絶対この私の手で殺してやるゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!1」

カレンがアサシンを使って高速で書かれた馬鹿顔(名付け主、カレン)は後日、全メンバーと全サーヴァントに広まり凛はその日学校を休んだという・・・
なお言峰綺麗、カレン・オルテンシアは凛の生涯最大の汚点を写真に収めて大切に保管していたそうな・・・あくまでも余談だが・・・・

続く