キャスターが脱落し残るは六騎・・・

「アインツベルンが動いたか。それで他の様子は?」
「ああ、なんか柳洞寺の方で巨大な影が出てきたとか言っていたな。」
「そうか、では引き続き偵察をしろ。」
「ケッ・・・・せめて礼くらい言いやがれ。」

それだけ言うと神父の後ろに居た人影は瞬く間に消え辺りには再び静かになる・・・

「ふむ・・・今回は譲来の聖杯戦争ではない・・・」

今だ、アーチャーは呼び出されない所にマキリがルール違反を犯し既に召喚されているはずのアサシンを呼び出した。

「イレギュラーを除けばこれで全騎そろったのだがな。」

遠坂凛はセイバーを最初に呼び出しアインツベルンがバーサーカーを呼び出す。キャスターは召喚されはしたが既に脱落しランサーは姿を現さない。

偶然この冬木市に派遣されマスターになってしまいアサシンを呼び出してしまったカレン。

これで全騎そろったのだがその後マキリの妖怪がルール違反をしてアサシンを呼び出してマスターになる。
その息子もルール違反を犯してまでマスターになったのだがその令呪を失い既に脱落した。

マキリ臓硯の戦力が減ったと思うがそうではない・・・

マキリはまだ切り札を持っている。

マキリ臓硯はこの日の為に■い■■を作りそれを使おうとしている。

「・・・」

それはそれで楽しめそうだが自分が今気になっていることは・・・

本来、反英雄でしか召喚されないはずのアサシンを英雄として召喚し戦っていて生き残っているカレン・オルテンシア。

聞いた話によるとランサーを凌ぎセイバーと対等に戦い勝つなどバーサーカーと戦い冬木大橋を何らかの手段で破壊して潰したなど・・・さきほどの報告から遠坂と同盟したらしく注意しなくてはならないとの事。

そして

マキリの切り札、■い■■であり最凶のマスターである■。このマスターはライダーと再び契約して聖杯戦争に再参加した。


この二組がぶつかればどうなるのだろうか?

それを考えただけでも堪らない。

「今回の聖杯戦争は楽しめそうだ・・・」

本当なら今すぐにでも見に行きたいのだが・・・まあ今は監督役としてこの聖杯戦争を見届けようではないか。

「さて・・・アインツベルンはどう動くか・・・」

戦いは三つ巴になりつつあるのだった・・・・・

 

 

七夜と華と運命と
死合 前編

 


「よりにもよってこんな時に・・・」
「どうしたのですか?」
「カレン・・・」

「まさか・・・」

アサシンの様子がおかしい。何かを我慢しているようにも見受けられる。
そういえば彼は・・・

「アサシン、怪我を見せなさい。」
「何を言う。俺は別に怪我など・・・」
「セイバー。」
「はい。アサシン。動かないでください。」
「なにっ!!」

ガシッ!!

「クッ!!離せ!!」
「すぐ済むので我慢してください。」

「ちょっと・・・なんであんた達そんなに息が合っているのよ・・・」

凛が何かを言っているがまあ気にしない。今は彼の方を優先させなければ・・・
外套をめくりかたびらみたいな服を捲り上げる。

そこには予想通り・・・

「酷い傷・・・」
「やはり・・・治っていませんでしたか・・・」

肩からは血が流れており腹の裂傷の包帯は血が滲み出てきている。背中も治療したのにも関わらず血はまだ流れている。この傷で彼は動いていたのか・・・

「なんて無茶を・・・」
「嘘・・・たしかに治りかけていたのに・・・」

「凛・・・どういうことですか?」
「ええ彼を治療したのは私よ。応急処置に過ぎなかったけど確かに塞がっていたはずなのに・・・」

確かに治療した後がある。でも何故再び開いてきているのか。まさか彼は・・・

よく見るとセイバーも解ったみたいだった。多分サーヴァント同士にはそういうことがすぐ解ってしまうのだろう。

「とりあえず今は家に戻って・・・」

「残念だが・・・無理みたいだぞ・・・」

「えっ?」

 

 


「へえ、一度だけではなく二度も気付くなんてやるじゃない。ますます興味が沸いてきたわ。」

 

 

「イリヤスフィール!!!」
「なんでこんなクソ悪いタイミングで出てくるのよ・・・」

「カレン、とりあえず俺の後ろにいろ。話は後で聞く。」
「何を言っているのですか!貴方はもう戦えないでしょう!!」

「こんにちは、アサシンとそのマスター。」
「イリヤスフィール・・・!!」

「あら?覚えていてくれたの。ちょっとうれしいな、でもね・・・」

「■■■■■■■■!!!!!!!!!!!!」

「今日は挨拶じゃなくて殺し合いに来たんだよ。だから全員殺してあげる。」
「ちっ・・・やるしかないわね。セイバー、いける?」
「私はいつでも大丈夫です。しかし・・・」
「・・・」

アサシンが負傷しているためセイバー一人で戦わなければいけない。
さすがにこの怪物にたった一騎は不味い・・・
凛もそれをわかっているはずなのに

「ここは私が抑えておくからあんた達は一度引きなさい。」

凛の言うとおりだがこの状態・・・頼みのアサシンは今動けない・・・

「あら?悪いけど遠坂には興味が無いの。私が興味あるのは・・・」

「■■■■■■■■!!!!!!!!!!!!」

「そこの暗殺者だけよ。」
「随分舐められたものね。」
「そう?別に一緒に襲い掛かってきてもいいよ?私のバーサーカーには勝てもしないからね。」

「随分自身があるのだな。」
「そうね。だって私のバーサーカーはヘラクレスだから絶対負けはしないもの。」

「ヘ・・・ヘラクレスですって・・・」
「英霊の真名をあっさりというとは・・・」
「ええ、私のバーサーカーは弱点なんて無いもの。たとえあったとしても勝てるサーヴァントなんていないわ。」

なんて自信なのでしょうか・・・それにヘラクレス・・・
神ゼウスの息子で十二の試練を成し遂げた半神・・・ギリシャ神話の最上の英霊ではないか。
たとえアサシンが万全の状態でも勝てるものなのかわからない。セイバーがなんの英霊か知らないが相手が悪すぎる。はたして勝てるのか。

「なに、カレン。心配をするな。」

私が考え事に没頭していると応急処置をしていたアサシンが私に話しかけてくる。
彼はこの状況を理解しているのか・・・

「要はアレをなんとかすればいいのだろう?」

なっ・・・

「あら、随分余裕たっぷりなのね。」
「ああ。」
「ふーん、一応聞くけど貴方勝つ気なの?」

勝てるわけない。だって今彼は・・・

「いっとくけどこの間のようにはいかないわよ?」
「別に橋に落としたくらいで死ぬとは思っていなかったが・・・」
「なに言っているのよ、あれのせいでバーサーカーが2回も死んだのよ。正直あんな出鱈目な方法で殺されるとは思わなかったわ。」
「複数の命を持つ・・・か。なるほど、たしかにそいつはヘラクレスだな。」

何を言っているのですかアサシン。貴方まさか・・・

「カレン。ちょっといいか?」
「はい?」

なんでしょうか?

「すまん。」


「えっ・・・」

 

バシッ・・・・

 

「う・・・」


な・・・何を・・・

まさか・・・貴方は・・・死ぬ気・・・です・・・か・・・

だめ・・・意識が・・・

「ごめん・・・カレン・・・」

ああ・・・なんで貴方は・・・そんな悲しそうな顔をするんです・・・か・・・

もう意識が途絶えそうになった最後・・・

私はアサシンの包帯に包まれているはずの眼が・・・見えたような気が・・・した。

 

 

 

 

「すまん。」

「えっ?」

バシッ・・・

 

 


「アサシン・・・一体何のつもり?」

今、私の目の前にいる暗殺者は自分のマスターに延髄を攻撃し気絶させた。何のつもりなのかは私にもわかる。

「アサシン。マスターを眠らしたという事は降参のつもりなの?」
「まさか・・・」

イリヤスフィールには解らないだろう。多分彼は

「そこの怪物と戦うためにマスターに令呪を使われないようにしたまでのこと。」

「まさか・・・」

リンも気付いたようです。彼は多分・・・

「だから今此処でバーサーカーを殺す。前回みたいにカレンを狙われては堪らないからな。
だから気絶させた。」

ここでバーサーカーを道連れにしてでも殺すつもりなのだ・・・・

「へえ・・・勝つつもりなんだ・・・面白いわね。」
「その通りだ。」

それでも・・・彼は躊躇わない・・・

「見たところ魔力切れを起こしかけて弱りかけているのにいい覚悟じゃない。」
「見破られていたか。」

「やはり・・・そうでしたか・・・」

たとえ己がどんなに傷つき削れていき・・・磨耗したとしても・・・必ず引かない・・・

「ちょっと・・・アイツ魔力切れを起こしていたの!?」

私はカレンに魔力供給のパスが切れていることを教えていたから驚きはしなかったがリンは知らなかったせいか驚いていた。当然だ。今彼は己の消滅覚悟でバーサーカーを刺し違えても殺すつもりなのだから・・・無謀もいいところだと思っているのだろう。

「そんなのできるわけがないわ!!セイバー!!アイツを止めて!!!」

リンは無理だと思っているのだろう。だが・・・

「無理です・・・私には絶対止められません。」

カレンの話を聞いた時とあの時戦った時の彼の性格を考えれば・・・彼はたとえ無理なことでも引かずに己を磨耗させてまで成し遂げる・・・


−彼は・・・自分の大切な人を救いたいから英霊になったのです。−


カレンの言うとおり・・・もう彼は止められないのだろう・・・

「ちょっと!!なに言っているの!!そんなことよりアイツを止めることが先決でしょう!!!」
「しかし・・・」
「だってもクソもない!!アイツが止められないのなら殴ってでも止めるまでよ!!」


―セイバー、多分彼は誰も諌めてくれる人がいないから守護者になってしまったのでしょう―

そうだ・・・今は・・・彼を止めるしかない・・・何を弱気な事を言っているのだろうか私は・・・

彼がこういう人間だという事が私にはわかっていたではないか。ならば止めなくてはいけない。


「アサシン!!せめて私もいっしょに戦う・・・」


だが・・・


「・・・動くな。」

「!!」

いつの間にか短剣が私たちの周りに刺さっており動きを封じられてしまった・・・


「なんで・・・私まで・・・」

よく見るとリンまで動けなくなっている。邪魔されるのを嫌ったからだろう。

「へえ・・・日本で言う影縫いって奴なの、それ・・・でも。」

「■■■■■■■■!!!!!!!!」

「私に以前使ったのとは違うでしょ?見たところ貴方まだ能力を隠し持っていそうだしね・・・」
「なかなか良く見ているな。だがわざわざ手札を見せる必要はあるまい?」
「それもそうね。」

よく見ると前回みたいにリンは魔力を消されてはいない。同盟を組んでいるのだからやら意味がなかったのだろう。

「■■■■■■■■!!!!!!!!」

アサシンはバーサーカーにも一応やっていたみたいだが全て弾かれ効いてはいない。

「そんなのじゃあ私のバーサーカーには効かないわよ?」
「もとより承知の上」

バーサーカーがアサシンに斧剣を振りかぶるがアサシンはそれを紙一重で避け脱兎の如く逃げる。

「逃げる気?でも逃がさない・・・バーサーカー!!」

「■■■■■■■■■■!!!!!!!!!!!!」

「追いかけなさい!!」

バーサーカーがイリヤスフィールを肩に乗せ逃げ出したアサシンを追いかける。
イリヤスフィールは彼が逃げたと思っているみたいだが私にはそうではないと分かる。なにより・・・

「リン!彼は都外の森の方に向けて移動しています!!」

気配遮断を使わず私たちからバーサーカーを引き離そうとしているから・・・

「くっ・・・セイバー!!まずはこれを何とかするわよ!!!」
「分かりました!!」

早く彼を追いかけなければ・・・

 

 

 


続く

 

 

おまけ


「動けない・・・」

しかもコレはどうやったら取れるのですか!!

これじゃ周りからみたら馬鹿みたいじゃないですか!!!

「アサシン・・・覚えておきなさい・・・」

「セイバー・・・アンタ段々カレンに似てきたわよ・・・」
「そんなこと今はどうでもいいです!!」
「はあ・・・」

「うーん・・アサシン・・・覚えておきなさい・・・」←寝言

「・・・」

凛はやっぱり段々カレンに似てきたと思うのだった・・・